子どもが生まれてからたくさんの絵本を読むようになりました。
「絵本の読み聞かせは子どものため」と思っていた私ですが、
絵本ならではの表現に大人も感動してしまう作品ってありますよね。
大切なひとを想う気持ちを描いたこの絵本は、
子どもたちに読み聞かせながら私も涙してしまう一冊です。
今週はお子さんと一緒にお母さんも感動してほしい!
『ヒワとゾウガメ』をご紹介します。
100年も生きるゾウガメとはかない命の小鳥。
島に一頭しかいないおおきなゾウガメ。
その甲羅のうえにはいちわのヒワがおしゃべりしている。
ヒワは「あたしたちともだちだからいつもいっしょだよ」という。
けれど、ゾウガメはいつもしらんぷり。
「ねえ、きみはともだちでいてくれるっていう。ずっといっしょだって、いつもそういう。けれどそんなわけはないじゃないか。」
心の奥底でヒワにそうよびかける。
むかし友だちになったことりはみんないなくなってしまった…。
長く生きるものの宿命として、別れのつらい思いをするなら、
もう友だちなどいらないと思っていた。
ある日、海のむこうにゾウガメによく似た「ゾウ」という生き物がいるといううわさをヒワがうれしそうに伝えた。
そして、その「ゾウ」はとても長生きすると。
「ゾウ」がどんな生き物なのかたしかめてくると言って、
ヒワはそれから何日も姿を見せなくなってしまった…。
はじめは心配にもならず、自由になった気さえしたゾウガメだったが…。
安東みきえさんの、心揺さぶるやさしい物語と、本いっぱいに広がるミロコマチコさんのダイナミックな描写。
ゾウガメの表情の変化や島の風景、そして胸に響く言葉のかずかず。
読み終えた時には映画を一本見終えたような、
観る人に力強く何かを語りかけてくれる世界が魅力的です。
ヒワという小鳥知っていますか?
調べてみたら、スズメよりも小さな小鳥なんです。
ゾウガメが、いなくなったヒワの重さを感じるために甲羅に小石を乗せるシーンがあるのですが、
ヒワの小ささを想像するとさらに胸がしめつけられ、涙があふれてきます。
「ぼくがひゃくねん、わすれずにいるよ。」
最後に、そう口にするゾウガメの心の内に胸を打たれます。
コロナ禍で思うように人と会えない日々が続きますが、大切な人はいつでも胸の中にいて、そばで感じている。
今だからこそ、より胸に響くおはなしです。
いつでも一緒にいるわが家の姉妹
最近は、おそろいの服を選んで着ているわが家の4歳と1歳の娘たち。
次女が大きくなって一緒に遊べることも増えてきました。
ケンカもしばしばですが…(笑)。
見ていると、2人だけに分かる空気があるように感じます。
身近にいる姉妹はお互い大切な存在なんだと。
これから先も、そんなふうに思いながら育ってくれたらいいな。
『ヒワとゾウガメ』
作:安東みきえ 絵: ミロコマチコ 佼成出版社
来週は赤ちゃんから楽しめる!
抱きしめたくなるかわいい絵本「もこもこちゃん」をご紹介します。
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