夏休みになって、わが家の娘たちはとにかく本をたくさん読んでいます。
5歳の長女は児童書も読むようになり、お話が広がっていく楽しみを覚えたようです。
絵本をたくさん出版しているニジノ絵本屋ですが、今年はじめて「絵童話」を出版しました。
「夢」がテーマの不思議でかわいいお話です。
今週は夏休みの読書感想文にもぴったりな絵童話『トーメイくん』をご紹介します。
楽しい夢を見させてくれるトーメイな生き物って?
何百年も前からある古いお屋敷が物語の舞台。
ここにはお年寄りから子どもまでいろんな住人が住んでいます。輸送船の船長だったおじいさん、作家を目指す文学青年・・・、
そして不思議な住人がひとり。屋根うらべやでひっそりと暮らしている「トーメイくん」。
お屋敷に住む人々を見守る「トーメイ族」のひとりで、夜になると悪い夢にうなされる住人を助けることがお仕事。
トーメイくんは笛を使って悪い夢からみんなを救います。
ピッコロリンリン キラリンリン
キラキラリンリン ピロリンリン
悪い夢はもやになってトーメイくんの笛の中に。
悪い夢についてきたいい夢は、満月の夜に返す…。
なんて素敵なお仕事!
そして、集まったいい夢を見ることがトーメイくんのお楽しみの時間。
トーメイくんが夢からいろいろな感情をもつようになって…、私のお気に入りのシーンのひとつです。
元船長のおじいちゃんのマックスは、少年時代にお父さんに乗せてもらったヨットの夢をみています。
おばあさんと暮らす女の子のビバは、お父さんとお母さんとサバンナに行った夢。
誰かの夢の中を見られるなんて考えただけでワクワクしちゃいます!
悪い夢を見ると少し沈んだ気持ちになったり、楽しい夢を見るとその日1日楽しく過ごせたり。夢って自分のバロメーターみたいですよね。
いい夢を見させてくれるトーメイくんがいたら毎日ご機嫌に過ごせそう。
お屋敷の住人のみんながうらやましい!!
そんなトーメイくんは“トーメイ”なので、もちろん誰にも見えません。
のはずなのですが、ある日・・・
「あれ!とうめいなだれかさんがいる」
とビバに見つかってしまいます。
「友だちになろうよ!」
友だちになったふたりはお屋敷の中を探検したり、探偵ごっこをしたり、かくれんぼをしたり。
「うれしい!」「笑う!」心が勝手におどり出したみたいに楽しい時間を過ごします。そして、はじめての友だちに今まで経験したことのない気持ちを覚えるトーメイくん。
これがトーメイくんとビバの長い友情の始まり。
とお話が終わり、これからのトーメイくんとビバの友情のお話がとっても気になります…。成長していくビバとトーメイくんの続編も楽しみ!!
このお話を作ったのは田辺アツコジョーンズさん。絵は娘のカリナジョーンズさんと夫のロイさん。
家族で絵童話を制作できるなんて、とっても素敵です。
あとがきに書かれたケストナーの言葉「子どもと子どもでない人」も、とても興味深かったです。
子どもの自分を大人になっても自分のなかに持っている人。自分のことはもちろん、小さい人を育てている中で「そんな人になってほしい」と願いながら子育てしている気がします。
こわい夢や悲しい夢を見たら、トーメイくんがそっと見守って楽しい気持ちにしてくれるかも。
わが家にもトーメイくんがいてくれたらうれしいな。
どんな夢を見ているのかな
夏休み、ラジオ体操に通う娘の朝は早い! 涼しいうちにたっぷり遊んで、お昼ごはんを食べたら少しお昼寝…
どんな夢を見てるのかな。
私が「トーメイくん」になっていい夢にしてあげるからね・・・!
『トーメイくん』
文:田辺アツコジョーンズ 絵:田辺カリナジョーンズ、ロイ・ジョーンズ 出版:ニジノ絵本屋
次回は、生活の疑問が、かわいい絵本でわかちゃう!「おしっこ、うんこはどこへいく?」をご紹介します。